【振り返り】第三次調査10日目

2年前の今日、2017年8月31日は発掘調査10日目でした。

遂に埋葬施設が姿を現わした日であり、感動と興奮の日々の続く始まりの記念日でした。
前日の8月30日にはキリシタン史研究の権威である五野井隆史東大名誉教授、そしてカクレキリシタン研究で著名な宮崎賢太郎長崎純心大学客員教授が視察にいらっしゃいました。
そして発掘調査はついに墓壙の形状がはっきり姿を現わした日でした。もうここは墓所で間違いない。そんな確信を得た日でしたが、同時にセクションベルトを設定して掘り出すと、またゴロゴロ石の層が出てきて、ちょっとがっかりの日でもありました。10日目はこれで終了です。石ころが詰まっているだけだったらどうしよう。ちょっと気が重い終了状況だったことを覚えています。

そして二年前の今日8月31日は遂に埋葬施設の蓋石が出現したという日です。

もう現場に立ちあっていた皆さんの感動は言葉にならないほどです。しかし別府大学教授で調査主幹の田中裕介先生や現場責任者の竹田さんたちは冷静でした。発掘調査はここからが本番であり、ここで発掘方針を誤ると「遺跡破壊」につながるからです。石ころを撤去すると再度土層が出てきました。
発掘調査のスピードは更にゆっくりとなり、三度目のセクションベルト設定。土の表面を薄く削り取るように掘る作業が続きます。神経集中です。そして大きな石の蓋3枚が数百年ぶりに白日の下にさらされました。
詰めていた報道機関の方々の興奮も高まり、翌朝の新聞紙面ではカラーで石蓋の写真が掲載されました。
しかし、石蓋を開けるのは明日に持ち越し。さて、遺物は出るのでしょうか。それとも何も出ないのか。興奮の最初の一日は終了しました。