千々石ミゲルは棄教していないのか?
真実を求めて最後の調査へ。

2003年12月、諫早市多良見町山川内で千々石ミゲル夫妻のものと思われる墓石が発見されました。
千々石ミゲルといえば天正遣欧使節の4少年の中で唯一イエスズ会を脱会し、キリスト教の信仰を失ったと言われています。

しかし、これまでの第一次~第三次調査において、千々石ミゲルの妻と思われる遺骨が発見され、
さらにガラス玉や板ガラスなどのキリシタン遺物が出土したのです。
このことから夫である千々石ミゲルはイエスズ会は脱会したものの、
キリスト教の信仰を保持していた可能性が高まったと考えられます。

2021年以降に千々石ミゲルが眠っているであろう墓壙の大規模調査(第四次調査)を行うべく、
「千々石ミゲル墓所調査プロジェクト」を起ち上げ、真相の解明に迫ります。

2003年12月諫早市多良見町山川内で千々石ミゲル夫妻のものと思われる墓石が発見されました。千々石ミゲルといえば天正遣欧使節の4少年の中で唯一イエスズ会を脱会し、キリスト教の信仰を失ったと言われています。

しかし、これまでの第一次~第三次調査において、千々石ミゲルの妻と思われる遺骨が発見され、さらにガラス玉や板ガラスなどのキリシタン遺物が出土したのです。このことから夫である千々石ミゲルはイエスズ会は脱会したものの、キリスト教の信仰を保持していた可能性が高まったと考えられます。

2021年以降に千々石ミゲルが眠っているであろう墓壙の大規模調査(第四次調査)を行うべく、「千々石ミゲル墓所調査プロジェクト」を起ち上げ、真相の解明に迫ります。

第三次調査時上空から墓所の撮影

第四次調査について

― 最後の大規模調査 ―

発掘調査対象

所在地:諫早市多良見町山川内字ケンノ木59
遺跡名:千々石ミゲル墓所推定地

目 的

第一次~第三次調査の結果、石碑周辺の地下には17世紀前半の墓壙、埋葬施設が良好に残存することが明らかになり、さらに現在「千々石ミゲルの墓と思われる石碑」が建つ土地は、17世紀前半には墓所として造成されていたことも確認できました。

今回の第四次調査では、石碑周辺で未発掘の部分に石碑の本来あった場所の痕跡(掘り方)と、もう一つの墓壙範囲を確認し、そして埋葬施設の特徴を確認してその被葬者の性格を明らかにし、「千々石ミゲルの墓と思われる石碑」との関係を明確にすることを目的としています。

調査範囲

図1 地中レーダー探査結果
地中レーダー探査の結果をふまえて

第一次調査の地中レーダー探査で図1の結果がでました。墓石の前方に3つの反応(図1 ③、④、⑤)がでているのがわかります。
段階的に調査を進め、第三次調査で見つかった墓壙は、墓石向かって右側(図1 ③)の反応に当てはまると推測されます。また、被葬者は女性でミゲルの妻と推定されるため、墓石向かって中央の丸い反応(図1 ④)、もしくは左側の反応(図1 ⑤)が出ている部分にミゲルが埋葬されている可能性があります。

※①基壇 ②墓石 ③ミゲルの妻の墓壙 ④ミゲルの墓壙(推定) ⑤不明な反射(こちらがミゲルの墓壙?) ⑥従者の墓
※地中レーダー探査とは電磁波によって地中の物体を感知し、構造を可視化するものです。

地中レーダー探査結果から3つの反応と従者の墓を含む調査範囲を設定し、最後の大規模調査を行う予定です。

図2 墓所平面図

調査方法

調査対象地の敷地面積は61㎡。

掘削深度は遺構の形態や調査方針にもよりますが、現地表から2mに及ぶことはないと予想しています。

墓壙等の遺構の存在を把握するために、前回の調査で設定した調査基準点を基に調査坑(トレンチ)を設定し、掘り下げていきます。掘り下げる作業の中で、土層と土器類の出土状況等を写真及び図面に記録し、墓所の造成方法や墓壙の設定過程の復元を行います。

埋葬施設の調査については、調査の進捗に応じて千々石ミゲル墓所調査指導委員会(委員長:谷川章雄早稲田大学人間科学学術院教授)(以下調査指導委員会)へ指導を仰ぎ、内部を調査する場合は埋蔵文化財の保護と調査の目的を最大限考慮した方法となるように努めます。

また、埋葬施設の調査により確認された出土品は、出土した位置を写真及び図面に記録し、遺構から慎重に取り上げ、劣化を防止する緊急的な措置を行う予定です。 なお、墓壙内部の調査及び埋戻し作業は、確認された墓壙や埋葬施設が崩壊しないための措置を施すなど調査後の遺構保存に配慮しながら慎重に行います。

千々石ミゲル墓所調査プロジェクトメンバー

|代表|浅田昌彦

千々石ミゲル子孫、千々石ミゲル墓所推定地 所有者

|調査統括|大石一久

石造物研究者、元長崎歴史文化博物館グループリーダー

著書

|副代表|井手則光

千々石ミゲル墓所推定地 管理者

|副代表|町田義博

元千々石町長、元雲仙市副市長

|顧問|加藤茂孝

日本医史学会評議員、日本ペンクラブ会員

|コメント

新しい発見への期待
天正少年使節の四人は、文化交流を果たした輝かしい前半生と数奇な運命をたどった後半生のコントラストに胸が痛む。中でも千々石ミゲルはイエズス会を退会し、棄教者として悪名が高かった。それが、夫人の墓所の発掘で、キリシタンの証拠品が見つかった。そうすると今年墓所の発掘が予定されているミゲル自身も潜伏キリシタンであった可能性が高い。歴史が書き変えられるかもしれない期待にワクワクしている。だから私も発掘に資金援助した。

|顧問|朝長万左男

恵みの丘長崎原爆ホーム診療所所長、長崎大学名誉教授、日本赤十字社長崎原爆病院名誉院長

|コメント

ミゲルの墓碑発掘が終盤に入ります。こんどこそミゲルの痕跡を見届けたい。一六世紀末、日本人として初めてヨーロッパに文化的足跡を印し、ヨーロッパの人々に日本人を知らしめた四少年達。その一人のミゲルの全貌、特に棄教したその後の人生も明らかになるのではないか?発掘への期待はいやがうえにも高まります。現代に生きるわれわれに、特に四少年と同じ年頃の若者にミゲルが語りかける瞬間が近づいています。

|顧問|光田明正

長崎外国語大学名誉学長、桜美林大学孔子学院名誉学院長

|コメント

「ミゲル墓所発掘」と言って、長崎県以外の人ですぐに分かる人がいたら、それは相当に歴史通である。天正遣欧少年使節団というと、その東西交流上の意義など知る人は多くなる。その少年の1人、ミゲルの墓所が特定され、調査は大分進んでいる。さらに精緻な調査が行われれば、この400余年前に実施された、世界史上の事蹟の実態がより鮮明になる。グランドファンディングを通し、この調査が、多くの人々の共有の事業となることを期待したい。

|顧問|池辺晋一郎

作曲家、前横浜みなとみらいホール館長、東京音楽大学名誉教授

|相談役|一力昭子

プロジェクト代表浅田昌彦の実姉、ジュエリーデザイナー

|調査指導委員会 委員長|谷川章雄

早稲田大学人間科学学術院教授、前日本考古学協会会長

|コメント

4年前の夏に千々石ミゲル墓所の発掘現場を訪れたときの鮮烈な印象は、今でもはっきりと覚えています。巨大な自然石の墓標と礫に囲まれた槨に棺を納めた埋葬施設は、発掘された墓の格式の高さを示しており、副葬品にキリシタン信仰遺物があったことは驚きでした。このたび実施される発掘調査がさらに新しい事実を明らかにし、日本のキリシタン史、地域史の研究を書きかえる、めざましい成果をあげることを心から期待しています。