【振り返り】第三次調査14日目

2年前の今日は2017年9月6日(水)、発掘調査十四日目。

調査期間は4週間を予定していましたが、すでにこの日で3週目の半ば、来週は復元作業が予定されているので、実質的には発掘作業ができるのは今週いっぱい、今日を入れて3日間しかないことになりました。
あまりにも驚きの成果があったので気が付きませんでしたが、遺跡完掘ができるのか、漠然とした不安が頭をよぎりました。
自治体による調査であれば、延長は簡単なのかもしれませんが、本調査は1200名以上の皆様からのご寄付と多数のボランティアの方々のご支援で作業を進めているので、金銭的にも限界ですし、ボランティアの皆様も個々人のご都合があり、期間を延長することはできません。何としても完掘(かんくつ)しなければなりません。

さて、NHKの朝のニュースで発掘現場から歯とビーズ状の遺物が出土したと放送されました。見学の方が増えそうです。
今日も引き続き、墓壙内の底を掘り下げる作業が続きます。
四区画に分けてたうちの一区画が地山に到達し、そこを足場として、底に降りての発掘調査が可能となりました。
一方、墓壙内部の発掘で出土した土砂の精査にも緊張が続きます。土砂の精査で、現場では気がつかなかったビーズ状の遺物、木棺に使用されていたと思われる鉄釘や金属片も多数発見されるようになりました。
発掘そのものに携わる人だけではなく、土砂洗浄の方々も、自分が遺物を発見できるという楽しみがあったようです。

そして昨日見つかった墓壙中央部分の四角い金具を取り上げ、その周囲を掘り下げると、なんと複数のビーズ状の遺物が固まって出土し、その中心に半円形の遺物が出土したのです。
「円形の中央に十字架が見える!」「これはメダイ(キリスト教の聖具のメダル)だ!」などの言葉が囁かれ、遂に、ミゲルが棄教していなかったことが証明された。そんな会話が飛び交いました。
しかし、慎重に半円形の遺物に水をかけて洗うと、どうやら材質はガラスの平滑な板のようです。既に4時過ぎとなったため、これらを取り上げるのは翌日にしました。
夕刻には遺骨や遺歯の鑑定の専門家、長崎大学の分部哲秋先生がお見えになり、分析・鑑定のために現時点で出土した遺骨類をお預けしました。