第四次調査13日目(9月6日)

9月6日月曜日。発掘調査13日目です。墓所周辺の空は、先週までの入道雲から筋雲に変わり、赤とんぼ(精霊とんぼとも呼ぶそうです)が大軍が群れて飛び交うという、一気に秋の様相を呈してきました。

さて、8月23日からの表土掘削、遺構上面部掘削を経て、昨日から遺構下面部掘削に入りました。さらに慎重な作業が続きます。

12日には、本プロジェクトで設置した指導委員会の先生方6名が現地にお見えになります。前日本考古学協会会長の谷川章雄早稲田大学人間科学学術院教授(委員長)、富松神社宮司の久田松和則博士(副委員長)、浅野ひとみ長崎純心大学教授、小林義孝摂河泉地域文化研究所理事、宮崎賢太郎元長崎純心大学教授、山田順西南学院大学准教授にご就任頂いています。
当日は朝10時から現地視察。発掘現場で発掘担当の田中裕介別府大学教授による委員の皆さまへの状況説明。この部分は報道機関の皆さまに公開いたします。13時から15時まで委員会を開催し、調査への指導・ご助言をいただきます。委員会は非公開です。

指導委員会の資料準備等のため、日報更新はしばらくお休みをいただくことになりそうです。

① 数日前の空とはずいぶん違う雲のかたちです。秋の空ですね。ただ、地面の湿気はまだまだ抜けておらず、湿度の高い空気です。安全管理の為と発掘場所保全の為に、ドンゴロス(麻袋)を各所に敷いています。

② 北側から撮影|墓所下面部掘削の段階に入ったので、地表からの掘削は困難となりました。2017年の第三次調査の時と同様に、土のう袋で台座を作り、足場板をかけて発掘作業を行うことになりました。板直接では足が痛いので、市販のジョイントマットというのでしょうか、それを引いて作業を行います。

③ 発掘作業の道具も、これまで使っていたものに加えて細かくデリケートな作業が可能なものを取り揃えています。とはいっても、発掘作業専用というのではなく、家庭で使っている日用品を転用し、工夫しています。スプーン、ゴムへら、竹串など、さまざまです。

④ 東側から撮影|発掘現場には一人しか入る余裕はありません。窮屈な姿勢での作業となりますので、数人が交代で行います。もちろん掘削した土砂は土のう袋に詰められて取り上げ、数種類のふるいにかけて遺物の有無を確認しています。特に、遺構内部の土砂については、本日から専門家の先生のご指導によって洗浄(水洗い)を加え、徹底して見落としの無いようにしていきます。

⑤ 東側から撮影|晴天の日ですが、発掘している所は手暗がりとなるので、照明をつけて見落としの無いように進めています。手前の人は、発掘作業と並行して測量と図面作成準備を行っています。

⑥ これは掘り下げている所とは別の所の写真。下の赤いところが、地山と呼ばれる、掘り起こされたことのない部分。上部の濃い色の所が一度掘り起こされ、埋め戻されたり、長期間にわたって堆積したり、あるいは流れ込んできた土だそうです。この境界を見分けて、掘削していくことで、建立当時の状況を確認していくそうです。もちろん、発掘現場の土質によって色は異なるようですし、色だけではなく掘った時の手ごたえの差など、いろいろな判断基準があるようで、とても素人の私には理解できない作業です。

⑦ 昨日の作業はここで終了。板で養生をし、さらにこの上にシートを被せて、上部からの土砂流入を防ぎます。